子育てママに人気

マイシェフに在籍するイタリアンシェフの訪問風景(上)。グリーンピースのポタージュなど、本格派メニューが味わえる(下)

 自宅に居ながらにして、家族や仲間と寛ぎつつ、一流の味を楽しめる…。そんなサービスが注目されている。プロの料理人が自宅を訪れて調理し、片付けまで行ってくれるというサービスが、主に子育て中のママたちから支持を集めているのだ。

 まず、手頃なサービスで人気を集めるのが、出張シェフサービスを展開する「マイシェフ」(東京都港区)。日時や料理内容などを指定すれば、ひとり3000~5000円(食材費・出張費・交通費・片付け・消費税込み)という価格で、プロの料理人が訪問し、フランス料理やイタリア料理に腕をふるってくれる。最低実施人数は4名で、1名分の平均単価は4000円程度という。

 それまで同様の出張サービスは存在したが、いずれも富裕層向けのもので、平均単価は1万円前後(1名分)。だからこそ、マイシェフのリーズナブルな価格設定は注目を集め、サービス開始の昨年9月からわずか3ヵ月で注文数が7倍に伸びるなど、業績も順調に推移している。

 マイシェフ社長の清水昌浩氏は、「既存のサービスは、料理人の視点で内容の設計や価格付けを行うため、高額にせざるを得なかったのだと思います。これに対してマイシェフは、主たるターゲット顧客を決めてマーケティングを行い、想定顧客層が十分支払える価格付けを行いました。その上で内容の設計を行っているので、この低価格サービスが実現するのです」と語る。

 同社が考えるターゲット顧客とは、主に首都圏の育児ママやワーキングマザーなどだ。ファミリーの集まりやママ友会、誕生日パーティなどがその想定シーンである。実際の利用者も、ほぼ全て個人客。中でも育児中のママが7~8割と大半を占め、特に小さい子どもがいて、外出・外食がままならない女性たちから好評を得ているという。

 清水氏が起業に至ったのも、5~7年ほど前より、「都市部の育児中の女性向けサービスが少ない」と考えていたから。料理という商材で楽しいホームパーティのシーンが演出できないか。そんな構想が原点になっている。

「お祝いごとやイベントでのご利用シーンが過半数で、クリスマスパーティや同窓会、新居のお披露目などのイベントが多いですね。またこの食材は避けてほしい、こんなお祝いにふさわしい料理を…。というご要望にも応えています」(清水氏)。