民主党政権は、兆のオーダーで、予算配分構造を変えました。公共事業予算を3割削り、医療予算と教育予算を増やした。なぜ公共事業予算を大幅削減できたか。公共土木建設業界からの支持をほとんど期待していなかったからです。

 雇用維持には、敏感な民主党政権でしたから、建設業全体では民間の建設事業発注を刺激し、建設業の雇用者数は減らしていません。一方で、一般世帯に大いに関係が深い、救急・外科・産科・小児科・がん対策といった医療予算を充実させ、医療・介護関係の雇用も増やし、高校授業料も無償にし、大学生の希望者全員奨学金も実現させました。

 そのことによる支持を期待したにもかかわらず、新たな受益者は政権交代による政策変更によるものだとは認識せず、票にはつながりませんでした。マスコミも、政権のヨイショをしているような報道はしたくないし、政権擁護報道をしても視聴率が増えないので、良い情報は伝えないのが、メディアの常です。

選挙対策上抜本改革は困難
横行する「新規予算」の偽装

 こうした民主党政権転落の教訓から、票をもっている業界へのひも付きの補助や事業発注は選挙での支持につながるが、一般ユーザへの利便向上のためのひも付きでない制度改正は選挙の上では効果が薄い一方で、消費税増税に見られるように一般への負担増はマスメディアが書きたてるので、マイナスの制度改正は選挙上大きなマイナスとなることが改めて確認されました。

 要は、企業の社長の場合は、収入を増やして、支出を抑え、黒字を増やせば、株価に反映され、その地位は維持されます。しかし、今の国会には、政府から受注している既得権者の代弁ばかりする議員と、消費税を上げず、年金を下げないことが社会正義だと信じて疑わないTVの影響を受けている議員がほとんどです。

 国際的にビジネスで活躍している人たちや本気でイノベーションで新たな産業を興そうとしている人たちの代弁者は、国会にはわずかしかいません。安倍総理が「アベノミクス第三の矢が成長戦略」と掛け声をかけたところで、財源確保ができず、実質的にインパクトある規模を伴っていないことになるのです。

 予算による成長戦略というのは、そもそも、この20年、大変難しくなってきています。そこで、予算をいじれない分、金融政策への期待も大きくなるのです。

 そうしたなかで、時流を意識しているというポーズ・姿勢を示す、やっているふりの「大山鳴動ネズミ一匹」「羊頭狗肉」的予算は、これまでも少なくありませんでした。また、やっているふりとの批判をかわすために、みせかけを大きく見せる「看板の書き換え」も横行します。