「他にもあるよ。「ウサギおいしかのやま」の「ウサギおいし」は、「ウサギがおいしい」という意味ではなくて「ウサギ追いし」の意味」

 「それは知っている」

「君が代は「サザエ石が岩音鳴りて」じゃなくて、「さざれいしが巌となりて」だよ。さざれいしは小さな石ということ。巌は大きな石」

 無言でうなずきながら、そんなこと当たり前だとの雰囲気を装ったけれど、実は高校を卒業するくらいまで、僕も「サザエ石と岩音」だと思っていた。

 「でもさ、おかしくないか? 小さな石が大きな石にはならないだろう。巌がさざれいしになるということならわかるけれど」

 「陰陽五行から来ているという説があるらしいよ。それと礫岩などの堆積岩は、既存の岩石が風化・浸食されてできた小さな石や砂などが海底や湖底などに堆積して、圧力を受けながら何千万年もかけてできる石だから、別に矛盾はないはずだよ」

 「……おまえ、しゃべり方が変だぞ。まるでウィキペディアの文章をそのまま貼りつけたみたいだ」

 「あとはね、…どんぐりころころの次は?」

 「どんぐりこ」

 「ブー。正解はどんぶりこです」

 「意味は?」

 「その次が「お池にはまってさあ大変」だから、たぶん水に落ちるときの擬音だと思う」

 「だからしゃべりかたが変だってば」

 「あとはね。アルプス一万尺。僕はね、あれをずっと、「アルプス一万ジャック、小山羊のうえで」だと思っていた」

 「……どういうこと?」

 「10000人のジャックが小山羊の背中でアルペン踊りを踊っている」

 「それは怖い」

 「正式な歌詞にある「小槍」は日本アルプスの槍ヶ岳のこと」

 「そうなのか」

 「あとはね、歌詞は正しいけれど意味の取り違えもけっこうあるよね。たとえば「汽車ポッポ」の歌詞。「畑もとぶとぶ家もとぶ」のところ、僕はいつも畑や家が空に飛んで行く情景を想像しながら歌っていた」