主婦は、渋谷にある中小企業にいた頃、経理課に所属していた。本来、仕事を進めるには、上司と話し合いのうえで、その進め方や終える時間などを詰めないといけない。

 ところが、上司に報告も相談もすることなく、1人の判断で進めていた。その都度、女性の上司から注意を受ける。だが、かすかに返事をするのみで、また、1人の判断で進めていく。

 仕事のミスは多く、いつまでも要領を得ないために、従業員に支給する交通費の清算や、取引先への支払いが遅れることが続いていた。上司は、ついに怒り始める。他の女性社員たちは一斉に離れていく。こうして孤立し、辞めていかざるを得なくなった。

 主婦にとっては「悶える職場」であったのだろうが、周囲を「悶えさせる職場」にしていた可能性は十分にある。

 主婦は、コミュニケーションに関して極端なまでに不器用だった。内向的であるのか、思っていることを上司に適切なタイミングで、わかりやすく伝えることができない。上司の真意を話し合うことで聞き出し、双方のコンセンサスを積み重ねつつ、仕事を進めることができない。

 悪気はないのだろうが、結果として上司を無視し、無手勝流で進める。そして、おもしろいくらいにトラブルを次々と引き起こす。そのことにお詫びもなければ、反省の様子も見せない。これが、総スカンになっていくことに拍車をかける。実は、申し訳ないと多少は思っているのだろうが、それを口にすることができない。

 まるで、フェイスブックやブログにでも書くように、仕事が1人で「自己完結」している。確かに、このようなスタイルでも認められる職場もあるのだろう。だが、主婦が勤めたいずれの職場も、仕事は上司との密なコミュニケーションで進めていくことになっていた。

 この主婦が、行く先々の職場の同僚から「キモイ」「変人」とレッテルをはられ、追い出しを受けたのは、このあたりに理由があるのだろう。そして、何者かに取りつかれたかのように会社員をなじるのは、ここに真意があるように思える。