Photo:JIJI
昨年、サントリーホールディングスで10年ぶりに創業家出身者がトップに就任する“大政奉還”があった。創業120年超の歴史を誇る日本屈指の同族企業、サントリーの足跡をダイヤモンドの厳選記事を基にひもといていく。連載『ダイヤモンドで読み解く企業興亡史【サントリー編】』の本稿では、「週刊ダイヤモンド」2008年6月14日号の記事「45年目にしてサッポロを逆転!サントリー『大安売り』の大顰蹙」を紹介する。サントリーはビール事業参入から45年目となる08年にサッポロビールを逆転し、「万年4位」の座をついに返上した。記事では、サッポロを狙い撃ちにした「大安売り戦略」の中身を解説している。(ダイヤモンド編集部)
サントリーがサッポロを逆転!
ビール参入から45年目の快挙
今年(2008年)4月以降、大手ビールメーカー各社の幹部は、大手マーケティング会社から日々届けられる店頭シェア調査の報告に驚かされ続ける日々を送っている。
酒ディスカウンター(DS)を例に取れば、サントリーのシェア15%に対してサッポロビール9%、スーパーでもサントリー15%に対してサッポロ11%――。アサヒビール、キリンビール、サッポロに次いで万年4位が定位置だったサントリーが異例の大躍進を遂げているのだ。
業界全体の課税出荷数量に関しては、ビール酒造組合から毎月発表されているが、個別メーカーの出荷数量が明らかになるのは3カ月に1回の四半期ごとだけ。
ちなみに次回の発表(4~6月累計)は7月10日だが、大手マーケティング会社の調査ではすでに4~5月でサントリーがサッポロを逆転してしまっている。ビール事業参入から、実に45年目の快挙である。
第1四半期(1~3月)のサッポロとサントリーのシェアは、それぞれ13.3%、12.8%。サントリーはわずか0.5ポイント差にまで肉薄していた。数量換算では55万ケースで、これはサッポロ、サントリーそれぞれの4日分の出荷数量でしかない。
「週刊ダイヤモンド」2008年6月14日号
3月末まで猛烈なデッドヒートを繰り広げてきたサントリー、サッポロのシェア競争の潮目が一気に変わったのは4月のことである。
というのも、サッポロが全商品を値上げしたのに対し、サントリーが値上げしたのは、たると瓶入りのみ。全売り上げの72%を占める缶入りは9月まで価格を据え置くことに決めたからだ。
キリンが2月、アサヒも3月には値上げに踏み切っており、店頭価格が上がっていないのはサントリーだけ。後述するように、客はこぞって安いサントリー製品に飛び付いた。
「ウチは安売りなどしていない。コストダウンに努めて価格を据え置いただけ。むしろ他社になぜ値上げしたかを聞いてほしい」
サントリーの相場康則常務取締役ビール事業部長はそう言うが、45年目の快挙はライバル他社のひんしゅくを買っている。
「(ビールの)缶も(原料の)ムギも、サントリーさんから調達したいくらいですよ。値上げしなくてもやっていけるっていうんだから、さぞ安いんでしょ」
ある大手ビールメーカーの社長は、こうやゆしたものだ。
「ジョッキ生1本100円!」







