Photo by Yasutaka Nagayoshi
民営化を果たした商工組合中央金庫が、かつてない野心的な戦略を打ち出した。目指すのは投資銀行業務への本格参入だ。2028年3月期には部門利益数百億円規模を目指し、組織体制も一新。「投資銀行難民」の中堅・中小企業を救うべく、従来の「融資による守り」から、資本を投じる「攻めのセーフティーネット」へとかじを切る。長期連載『金融インサイド』の内の特集『インベストメントバンカー M&A請負人の正体』の#12では、経営幹部への取材を通じ、その狙いと目指す投資銀行ビジネスの姿に迫る。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)
法改正が投資銀行業務参入の契機に
「攻めのセーフティーネット」へ大胆シフト
大手や外資系証券会社の独壇場である投資銀行ビジネス。大企業による大型のM&Aが耳目を集め、案件成立の暁には莫大な手数料が投資銀行の懐に流れ込む。
ただ、時価総額から逆算して獲得できる手数料の関係から、上場する中堅・中小企業は、投資銀行の支援の手が回らない「投資銀行難民」と化している。
その救世主になろうとしているのが、中小企業専門の金融機関である商工組合中央金庫だ。3月に公表した長期戦略・変革プランで、投資銀行業務への本格参入を宣言したのだ。
背景には、2023年に成立した改正商工中金法の存在がある。法施行後の25年6月に政府が保有する全ての株式が売却され、“民営化”を果たしたのだ。
民営化に伴い出資規制も大幅に見直された。出資先の株式を保有できる期間が、事業承継目的の企業は5年から10年に、新興企業は10年から15年へと延びた。
これが本格参入への決定打となった。保有期間が延長されたことで、長期的な視点でのハンズオン支援が可能になったのだ。
本格参入に当たり、「セーフティーネット」に対する考え方も改める。エクイティ(資本)を活用して企業価値向上を支援する「攻めのセーフティーネット」へと軸足をシフトする姿勢を鮮明にした。
大胆な発想の転換の裏側には、投資銀行ビジネスを総括する山田真也・取締役常務執行役員グループCSO(最高経営戦略責任者)の問題意識があった。次ページでは、その本意をひもとくとともに、投資銀行ビジネスの具体的な戦略や今後の展望を詳報する。







