しかし、よく見るとこれは3月6日に掲載されたニュースであり、つまり小保方さんに対する疑惑が生まれる前の記事を誰かがツイートしたものであった。どこかの誰かがこの記事を意図的に「最新ニュース」として紹介したのかもしれないし、あるいはまったく故意はなく、あるタイミングで過去の記事を最新ニュースとミスリードされ、それが拡散された結果かもしれない。

 これは震災直後に話題になったような「デマ」と同じ構造である。誰かが誤った情報を投稿し、それが悪意のない第三者によって拡散していく構図だ。私たちは、震災以降、まだ何も変わっていない。変わっていない私たちを糾弾したいわけではない。僕もこの記事をタイムラインで見たときに、一瞬でも「マジか?」と思ったクチである。私たちは騙されやすい。だが、騙されやすい私たちという事実を理解し、寛容であることが重要なのではないか。騙されてしまった人は、「自分は騙されやすい」と認め、騙されなかった人も「たまたま騙されなかっただけで、人々は騙されやすいという視点に立って、騙されている人に対し寛容でなければいけない」ということを胸に秘めなくてならないだろう。

 正しい情報を知ることは正義につながる。かつて誤った情報によって苦境に立たされた罪のない人はたくさんいた。だから、間違った情報に対しては、正しさを教えていくことが重要である。しかし、その際、糾弾するという形になってはいけないだろう。正しさを教える人は自らの正義感に則って厳しく糾弾するかもしれないが、間違った情報を拡散している誰かも、信条を持って行っているケースが多いのだから。震災の時に、本当に正しい情報が必要な人が、無用なデマに翻弄された経験も、それを元に生まれたケンカが私たちの気分を落ち込ませたことも、決して忘れてはならないのだ。

「自分が正しいと言いたい」「自分が正しいと思いたい」というのは、短期的な承認欲求の発露である。そこに固着するのではなく、大局観的に見てどのような行動や言動が人々を幸福にするのか、僕を含め皆で考えなくてはいけない。

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