ネットで豊かになったけど
今はあえてデトックス
昨年あたりから「デジタルデトックス」という言葉がよく聞かれるようになりました。
スマートフォンやタブレット端末の普及で、私たちは外出中でさえもデジタル信号のやり取りに多くの時間を占拠されています。そこで、過度なデジタル依存を防ぐために、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から一定期間離れようというわけです。
私自身も、朝はスマートフォンのアラームで起き、会社への道すがらネットニュースをチェック。SNSのメッセージやイベントにコメントを送信し、会社ではパソコンで仕事。仕事が終わればスマートフォンを触りながら帰路に着く…、という生活パターンです。
Wifiでネットに常時接続することが当たり前になっている今日、仕事でもプライベートでも、SNSでは、リクエストやメッセージに対してほぼリアルタイムでのリアクションが求められます。
まるで、何かに強要されるかのようにリアクションを返す作業は、誰かから常に監視され、束縛されている感も否定できません。例えそれが自分1人で行うものであったとしても、一人の時間を持ったという充足感に至らないのは私だけでしょうか。
たしかに、デジタルテクノロジーの登場は、われわれの生活を豊かにしてくれました。
例えば、インターネットのない時代には、今のように一瞬にしてかつ簡単に膨大な情報にアクセスすることはできませんでした。今では、時間と空間を超えて、世界中の誰とでもすぐにつながることができるようになりました。
獲れたての海の幸や山の幸が全国各地の産地から直送され、自宅に居ながらいつでも食べられるようなったのもネットのおかげです。
思い起こせば、1994年に初めて携帯電話を手に入れた時、「これからはどこにいても、仕事でもプライベートでも誰とでも24時間つながっていられる」という思いから、時間と空間という物理的制約から完全に解放されたと大喜びした記憶があります。