患者に悟られぬよう
雑談を装って病名を確認

 入院患者には、停電時にシステム障害が発生したことを院内放送で流したが、電子カルテやリストバンドが読み込めない状態にあることは伏せられた。医療事故を回避するためには、患者に事故の全情報を伝え、治療スケジュールの情報交換が不可欠だったはずだ。

 同じ関係者は「当日の担当医療スタッフは、事故の実態を患者には悟られないよう、遠回しに氏名や病名などを確認して、紙に記録するというばかげた作業に追われた」と打ち明ける。

 結局、システムが正常な状態で再稼働したのは、翌28日の午前8時。外来受け付けまで残すところわずか10分という瀬戸際だった。

 事故後、東大病院は「電源供給時間の長い新たな無停電電源装置への入れ替えと、診療情報システムの停止は、コンピュータウイルスからも起こり得ることから、より詳細な事故対応マニュアルを作成している」と釈明する。またこの件を、厚生労働省など関係機関へ報告していないという。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)

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