小さな組織で「非定型業務」を経験せよ

 大きく分けて、私からは2点アドバイスしたいと思います。

 1点目は「鶏口となるも牛後となるなかれ」。これは古代中国で7つの国に割拠した戦国時代、大国の秦に屈服しかけた韓の国王に対し、6ヵ国の合従連衡を説いて回った蘇秦がこの言葉を説いたのが由来です。つまり小さな国の王になることはあっても、大国に服従してはならないと説いたわけです。

「鶏口」といっても、大学を卒業してすぐに独立起業しろというのではありません。20代のうちはリーダー層がマネジメント判断を下すシーンをいかに近くで見られるか、そのポジショニングが重要だと思います。というのもリーダー層と一般社員の業務は決定的に“ある点”が異なります。

 その違いは何でしょうか? それは、部下は与えられた仕組みの中で「定型」業務をこなしますが、リーダー層は「非定型業務」の連続です。私が思うに、それは①新しい仕事や仕組みをクリエイトする②既存の仕組みでパターン認識できないことを判断しなければならない③リスクマネジメント(想想定外のトラブル等に対応する)――の3点ありますが、いずれも前例踏襲が利かず、五感六感をフル動員しなければなりません。

 ビジネスは、顧客ニーズや競合の動向に時々刻々対応していかねばなりません。自分たちが「これで世界を変えるんだ」と意気込んで投入した商品もすぐにコモディティ化したり、競合に競争する場所を根底から覆されたりの連続です。

 ソニーは80年代にウォークマンで音楽を“持ち運び”できる市場を作り出しましたが、その後、アップルがiTuneやiPodによって、ネット上で音楽をダウンロードできるという異世界を作ったことでシェアを奪われてしまいました。リーダー層たる人間は、時には既存の仕組みを壊し、新しい戦略の指標を見つけ出す。そして新しい戦略実行のための仕組みを構築し、それに向けて組織を動かしていかねばなりません。

 そういう意味では、新卒で中小企業・ベンチャーに入った人は日々、社長の隣で仕事ができますので、戦略を作るプロセスを目の前で見ることが出来るのが大きい。従業員が4ケタもいる大企業だと、社長に顔を覚えられることもありません。戦略とはかけ離れたところ、つまり定型の業務をこなすところで手一杯というのが普通だと思います。

 その一方で、小さな会社では、社長と一緒のプロジェクトチームに入って仕事をするチャンスも多いわけです。しかし、これも自分の身の置き所をどう考えるか次第です。