実社会で役に立つ経済学
難解な大著は3つのポイントから読む
ぼくは業界1位の企業を3社経験していますが、どの会社で働いているときも、『資本論』の理論を応用することで、適切に“泳ぐ”ことができました。また独立した後も、『資本論』で語られている資本主義の本質を念頭に置き、ビジネスをしています。実際に、ぼくは『資本論』をビジネスに活用しています。
そして、この中で語られている資本主義の原則、ルールは、万人のビジネスに当てはまり、万人の働き方に応用できると考えています。
しかし、『資本論』を読破することはかなり困難です。とても難しいですし、とても長いです。人によっては1年以上かかることもあるでしょう。
また、『資本論』に書かれていることのすべてが必要なわけでもありません。じつは、『資本論』のエッセンスは、3つに集約できます。次の3つを理解すれば、『資本論』の重要なポイント、また現代社会を泳ぐうえでの必須ポイントを押さえることができます。
【ポイント1】「価値」と「使用価値」の意味を理解し、その区別をすること
【ポイント2】「剰余価値」の意味を理解し、それが生まれるプロセスを知ること
【ポイント3】「剰余価値」が、やがて減っていくことを理解すること
この3つを欠かしてはいけません。そして同時に、学者を目指すのでなければ、この3つで十分です。この3つを理解していれば『資本論』を使いこなすことができます。
このたび出版した『超入門 資本論』では、3つのエッセンスを1章から4章にわたって解説していきます。また、5章から7章では、この先、資本主義のルールの中でぼくらがどう戦い、生き残っていけばいいのかを、『資本論』の活用方法とともに解説していきます。
この本を読み終わったとき、世の中の見方が変わり、自分が踏み出すべき第一歩が見えているはずです。
じつは、ぼくらが長らく悩んでいた疑問は、150年前にすでにマルクスが解決していたのです。(第2回に続く)
※この記事は、書籍『超入門 資本論』の原稿を一部加筆・修正して掲載しています。
著者プロフィール
木暮太一(こぐれ・たいち)
経済入門書作家、経済ジャーナリスト。ベストセラー『カイジ「命より重い!」お金の話』『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』『新版 今までで一番やさしい経済の教科書』など著書多数。慶應義塾大学経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。学生時代から難しいことを簡単に説明することに定評があり、大学時代に自主制作した経済学の解説本「T . K論」が学内で爆発的にヒット。現在も経済学部の必読書としてロングセラーに。相手の目線に立った話し方・伝え方が、「実務経験者ならでは」と各方面から高評を博し、現在では、企業・大学・団体向けに多くの講演活動を行っている。
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