『資本論』は、この世の絶対ルールを教えてくれる

 ぼくは大学で経済学を学び、実社会のルールを(なんとなく)感じ取りました。社会人になってからは、仕事の現場で、経済学の理論が当てはまっていることを確認できる場面がいくつもありました。

 そして、その経済学の中でも、今の日本経済の“ルール”を最も鋭く、かつ明快に示しているのがマルクスの『資本論』だということに気づきました。

 今の日本は、『資本論』の理論で説明できるところが非常に多く、『資本論』を知っていることは、労働者として働くうえで、とても強力な武器になりました。

 ぼくは2001年に大学を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て、今は独立してビジネスを行っています。富士フイルムはともかく、サイバーエージェントとリクルートは非常に“資本主義的”な会社です。

 そういう会社に勤めていたぼくが『資本論』の話を持ち出すと、驚かれることが多いです。それは、『資本論』に対して「共産主義の経済学」「革命の本」「もはや、時代錯誤で役に立たない」というイメージをお持ちの方が多いからだと思います。

 ですが、それらのイメージは、“間違い”です。『資本論』は、共産主義の経済学ではなく、資本主義経済の本質を研究している本です。『資本論』には、ぼくらが今生きている資本主義社会が、どんなルールで成り立っているかが書かれています。

 そこから、労働者がなぜしんどい生活に追い込まれてしまうのか、なぜ企業が一生懸命に開発した商品がすぐにコモディティになり、値下がりしてしまうのか、なぜ時代の寵児としてもてはやされた企業が、いきなりライバル企業に逆転されてしまうのか、を読み取ることができます。そして、そこから抜け出す方法も読み取ることができます。

 『資本論』を「時代錯誤でもはや使えない経済学」と捉える人もいますが、非常にもったいないと思います。