ドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS系・毎週日曜21時~)が後半戦に突入した。廃部の危機にある青島製作所野球部は大逆転できるのか?――企業スポーツの休廃部は、名門と呼ばれるチームでも実際に起こっている。先日も日本代表を送り出してきた、実績も歴史もあるパイオニア女子バレーボールチームが9月をもって廃部するというニュースが流れた。選手たちは人生のすべてをかけてきた「スポーツ」という仕事、そして社会での「居場所」の両方を突然、失うことになる。それはまた、いつ会社から「不必要宣言」を受けるかわからないこの時代、私たちビジネスパーソンにとっても決して他人ごとではない。

ある日突然「肩書」を失くしたとき、
果たして自分に何が残るのだろうか?

和田正人(わだ・まさと)
1979年生まれ、高知県出身。中学から陸上を始め、大学時代は主将として箱根駅伝に2度出場。大学卒業後は、実業団の陸上部に所属、廃部を経て俳優を志す。主な出演作品として、『非公認戦隊アキバレンジャー』(BS朝日ほか)『悪夢ちゃん』(日本テレビ系)がある。昨年放送されたNHK連続テレビ小説『ごちそうさん』では、ヒロインめ以子の幼馴染、源ちゃんを演じ話題に。10月には主演舞台「駆けぬける風のように」(東京・大阪・名古屋)を上演予定。

 ある日突然、会社から解雇を言い渡されたら? その後も続く人生をどう歩んでいけばいいのか? ドラマのキーパーソンである北大路犬彦役を演じる俳優・和田正人さんも、実はかつて目指していた道をあきらめた過去を持つ。そこには、ビジネスパーソンが企業社会を力強く生き抜くために必要な心得があった。

 箱根駅伝に出場。9区を走り抜き、日本大学4年生のときには、チームの主将もつとめた。それまでの人生のほとんどを陸上競技選手として過ごしてきた自分から、「陸上競技選手」という「肩書」がなくなってしまう――。

 企業とスポーツ。華々しいプロの世界とは逆に、知る人ぞ知る的存在であるアマチュアの世界。テレビのスポーツニュースで取り上げられることもめったにないし、応援席に立ち見が出るほどの観客が集まることもない。そんな「マイナーな存在」が題材になっているテレビドラマが『ルーズヴェルト・ゲーム』だ。倒産寸前にまで追い詰められた中堅精密機器メーカー・青島製作所の大逆転劇を描く本作で、企業再生のメインストーリーと同時に描かれるのが、青島製作所が所有する名門社会人野球部の存続をかけた戦いだ。

 ドラマの中では、15人のナインたちが「負けたら廃部」という危機にありながら、毎回様々なピンチを乗り越えていく。実はこのナインの中に、先にご紹介した、かつて現実の世界でも「廃部宣告」を受けた元アスリート・和田正人さんがいる。

 中学から始めた陸上競技で高校、大学へと進学した和田さんは、その後実業団の陸上部へと進んだ。そして、2年目に入ってすぐの春、廃部宣告を受ける。

和田 「これからだってときでした。監督から廃部だって言われたときのみんなの愕然とした表情、空気……全部、未だに脳裏に焼き付いています」