データ重視の経営を実現するには、経営者を含む全従業員の意識改革に加えて、分析をあらゆる企業活動の中に仕組みとして組み込むことが求められる。
求められる意識の変革
『データ重視経営とその企業風土のギャップ(前編)――「うちでは昔からこうしてきた」は通用しない』では、経営者自身が事実に基づいた裏付けを常に求める姿勢を示すことの重要性を指摘したが、データ重視の企業風土を築いていくためには、経営層、ビジネス部門およびIT部門のすべてに意識改革が求められる。
まずは事実に基づく意思決定を行うこと、そしてその事実が企業内で唯一無二の事実であること、つまり、部門ごとやマネジメントの階層ごとに異なるデータではなく、同じデータ(One Fact)を基に判断することが重要となる。
経営者は、データを重視した経営の舵取りをすることを宣言しなければならない。そして、経営者への報告を含むすべての階層における報告では、データの裏づけを要求することが習慣化されなければならない。
経営者やビジネス部門のユーザーは、競争優位を生み出す戦略や戦術の遂行のためにどのようなデータが必要であるかを考え、分析に対するニーズを明確に示すことが求められる。
IT部門は、ユーザーが分析を行う際に必要となるデータ基盤やツール環境を整備するとともに、分析に関するノウハウとスキルを蓄積し、必要なアドバイスを提供していくことが求められる。環境の整備だけがIT部門の業務分掌であり、データ活用はユーザーの責任と考えるIT部門は、部門の将来性を自ら狭めることとなろう。