日米の株価がじりじりと下がっている。本稿を書いている時点で、日経平均とニューヨークダウは共に「7000」寸前まで来た。
原因は、金融機関の経営不安の再燃だ。最大の焦点は、米政府がシティグループをどうするかだ。
シティグループは、昨年すでに450億ドルの無議決優先株による資本注入と、約3000億ドルの不良資産に関する政府保証という大型の支援を受けたが、信頼を得るに至っていない。株価は年初の3分の4以下の2ドル前後だ。
筆者は米政府はシティグループを早期に国有化すべきだと思う。民間会社としての経営の自主性を重んじていられる時期はすでに過ぎた。傘下のシティバンクは国際的な決済を担うマネーセンター・バンクの一角であり、業務範囲は世界各国に及ぶ。
破綻した場合の影響は、米国内にとどまらない。海外での不測の事態(預金の引き出しやデフォルト)が米国内での取り付けに発展するリスクもある。これから資産査定を行なって、追加的な支援を決めるような時間の余裕はないのではないか。破綻した場合の影響の大きさと時間的制約を考えると、米政府が経営に責任を持つことが現実的だろう。
投資家にとっての問題は、シティグループのような大銀行(一行とは限らない)に国有化ないし、それに近いことが起こった場合に、これをどう解釈するかだ。
本稿執筆時点までの株式市場では、国有化は株価の下落要因ととらえられているようだ。
国有化の際には、既存の株主が過去に発生した損失を負担することが想定されるので、最悪の場合、株式の価値はゼロになる。ゼロにならないまでも、政府が保有する優先株が大量に普通株に転換されるような事態になると、既存の普通株の株主が保有する価値が希薄化することになる。