世界の経済成長は来年にかけて緩やかに加速するとみる。米国は、今年1~3月にひどい寒波で落ち込んだ後、3%を上回る成長軌道に戻りつつある。ユーロ圏は、南欧債務危機後の処理による圧迫下でも、1%強の成長を確保する公算だ。
日本経済は消費税増税の悪影響は想定の範囲内にとどまり、今後は底堅く推移しよう。中国経済は最近までの減速は、構造的というより循環的背景が強く、今年第1四半期に底入れしたと判断している。新興国は一部の脆弱さが気になるが、米欧中の景況改善を受けて次第に底堅さを増すだろう。
世界経済がじわり持ち直す一方、主要国の中央銀行はハト派的な金融緩和による景気支援を継続している。FRB(米連邦準備制度理事会)は量的緩和の縮小から解除へと向かいつつあるが、超金融緩和の幕引きが市場に無用なショックを与えないよう、細心の注意を払っている。ECB(欧州中央銀行)はマイナス金利を含む金融緩和パッケージを導入し、日本銀行は異次元の金融緩和を推進中だ。
この結果、景気悪化もインフレもない妙な小康感「ゴルディロクス」が生まれ、債券・為替市場は膠着し、株式や新興国などリスク市場の堅調をもたらしている。
ドル円相場は102円前後にとどまり、ボラティリティ(変動幅)は歴史的な低さである。見方を変えるとドル円は底堅いともいえ、そこに米株高が重なって、日本株は次第に失地回復している。