売れ線を追従するより自分の感覚を信じる

 人々が思わずソーシャルメディアで拡散したくなる企画のツボとは、どんなところにあるのだろうか。飯田氏は、「ひとつ言えるのはあまり勉強しないということ。トレンドやデータを見過ぎて追従するとインパクトは生まれません。何が売れるかを模索するよりも、自分の感覚を信じることが大切」と話す。

シュールな世界観とネーミングの妙。一度見たら忘れられないインパクトでヒット作を連発する

「チラリーダー!」を企画したデザイナーの早川知氏は、リカちゃん人形を例に意匠へのこだわりに言及する。「リカちゃん人形って見えないけれどちゃんとパンツ履いていて、着せ替えもできるんです。チラリーダーも、顔の見えないマグネットのキャラだけ顔がブスになっている。そういう細部が口コミを誘発させるところがある」(早川氏)。

 さらに、「広告制作のようにいろいろな人の意見を取り入れて丸くなることがない」(早川氏)と、少人数で企画することの優位点をあげる。早川氏とコンビを組むコピーライターの佐々木望氏は「企画への熱量がすごい。ネーミングから細部へのこだわり、高いレベルで精査している」と、クオリティの高さを強調する。

 前述の飯田氏は「広告をしない広告の強さ」に驚いているとか。「一人ひとりがツイートにのせる言葉がコピーで、写真がビジュアル。その拡散力はマス広告に頼る必要がない」。そもそも広告は、多くの人々に訴求する使命を持つがゆえに、最大公約数的な表現になりがちである。

 しかし、現代は万人をターゲットにした表現は浸透力が弱い。むしろ一部の人々による熱狂的な支持が、マスに広がっていく時代なのだ。こうした情報の広がり方に乗るには、まず一部の人の熱狂を誘発する先鋭的なクリエイティブが重要となる。思わず人に伝えたくなる独特の世界観や細部へのこだわり。これらをどう商品やサービスに宿らせていくのかは、あらゆる業種でこれから、大きなテーマとなるだろう。

 アートとサイエンスの融合が必要と言われているビジネスフィールドにおいて、メーカーとクリエイターとのコラボレーションに注視していきたい。

(加藤力/5時から作家塾(R)