日本株の地味な上昇が続いている。日経平均株価は7月4日に1万5437円へと上昇。1月23日以来の高水準となった。「地味」の意味は二つ。値上がり幅が小さく、出来高が少ないことだ。

 相場が派手さに欠ける主因はイベント期待の剥落だろう。日本銀行による金融緩和や、政府による景気対策など、これまで株価を大きく動かしてきた「イベント」が少なくなった。しかし、それこそが株価上昇の主因でもある。景気回復期待が高まり、追加対策が不要になったのである。

 株式市場では景気「対策」期待相場から景気「回復」期待相場への移行、すなわち金融相場から業績相場への移行が進んだものとみられる。今後も地味な上昇局面が長く続くだろう。

 今回の景気回復の先導役は個人消費である。このパターンは珍しい。通常、輸出や設備投資といった企業主導で景気が回復し始め、雇用環境の改善を通じて、後から個人消費が回復する。しかし、今回はアベノミクスや異次元の金融緩和によって株価が上昇し、資産効果やマインドの改善によって個人消費が先に回復した。

 もちろん、消費主導といっても、消費を増やすためには先立つものが必要。昨年の円安局面で、日本企業は円安による国際競争力の改善を値下げ原資に使わず、輸出数量を増やすより利益を増やすことを選択した。その分、賞与などを増やす余地が生まれた。

 今までの景気回復局面と違ったのはその先。従来、日本の消費者は慎重で、賞与や残業代などの所定外給与だけが増えても、そうした一時的かもしれない所得増は消費に回りにくかった。それが消費に回ったという点では、いわば、米国型の景気回復といえる。