キヤノンを長年支え続けてきた柱のデジタルカメラ事業がいま、揺らぎ始めている

 2013年12月期の売上高3兆7314億円のうち、複写機などのオフィス事業は53.6%、デジカメなどのイメージングシステム事業は38.8%を占めている。営業利益率はいずれも10%を超え、それぞれ毎年2000億円以上の営業利益を安定してもたらす、文字通り会社の大黒柱だった。

 だが、新規事業が育たないことで2本柱の依存度は年々高まっていき、13年12月期にはついに92.4%と、過去最高の水準にまで達してしまった。

 それに加え、事態を深刻にしているのは、片方の柱のデジカメが揺らぎ始めたことだ。

 カメラ付きスマートフォンの普及に伴い、コンパクトデジカメ(コンデジ)市場はここ2年で半減。さらに、高機能であるが故にスマホの影響を受けにくく、景気低迷時にも成長を続けてきたレンズ交換式カメラが減少に転じ、「市場環境は百八十度変わった」(田中稔三副社長)。14年12月期のイメージングシステム事業は初めて4年連続で減益となる見通しで、新規事業育成の切迫度がかつてないほど高まっているのだ。

 医療事業はこれまでも第三の柱の候補の一つとして位置付けられてきたが、現状で売上高は数百億円規模にすぎない。冒頭の成果報告会で期待を集めたPATも、実用化されて収益面で貢献してくるのは先の話だ。

 医療機器よりも先に、収益面で貢献が期待できそうな新しい柱は何か。報告会の展示品の中で、現実味を帯びているのが産業向け機器である。