2013年12月期の業績予想について、3度目の修正を行ったキヤノン。稼ぎ頭だった一眼レフが初のマイナス成長となる見通しで、日本が誇る優良企業の屋台骨が揺らいでいる。

 稼ぎ頭に異変が起きた──。10月24日、キヤノンは2013年12月期の業績予想を下方修正した。

 とりわけ目立つのが、一眼レフをはじめとするデジタルカメラ(デジカメ)の落ち込みだ。キヤノンの収益源は、デジカメと複写機などのオフィス用複合機である。それぞれ年間で約2000億円の営業利益を稼ぎ出す、まさにキヤノンを支える2本柱だが、その片方の柱が揺らぎ始めている。

 半年前の4月24日。キヤノンは円安による追い風を受け、今期の業績予想について、期初予想から大幅に上方修正した(図(1))。売上高は前年比14.4%増の3兆9800億円、営業利益は同39.0%増の4500億円と順風満帆ともいえる見通しに、田中稔三CFOも「アベノミクスは歓迎だ」と口が滑らかだった。

 海外向けの販売比率が8割を占めるキヤノンの売上高は、1円円安に振れると対ドルで197億円、対ユーロで86億円かさ上げされる。4月に上方修正した売上高1700億円のうち、為替影響による増収分は、上方修正分を大幅に上回る2646億円に達していたのだ(図(2))。

 円安効果による増収にスポットライトが当たる中、デジカメの異変は始まっていた。レンズと本体が一体となったコンパクト型デジカメの年間販売台数の見通しは、1700万台から1450万台へと下方修正された。これにより、デジカメを中心とするイメージングシステム事業部の売上高は、為替の影響を除くと448億円の大幅な減収。為替による大幅増収分をデジカメが食いつぶしていた。