オフィスでの働き方に
変革が起きている
仕事は自分のデスクで、打ち合わせは会議室で――そんな従来のオフィスに「働き方の変革」が起きている。
これまでのオフィスは、単なる「事務処理を行うための作業場」といったイメージで、いかに効率よく作業をこなせるかに重点が置かれていた。
しかし、今は「いかに良い知恵やアイデアを生み出せるか」という、価値創造を促す空間へと変貌しつつあるのだ。社員・外部とのコミュニケーションをどう図るか、いかに部門の壁を越えて横の連携を強化するか、社員のクリエイティビティをどう高めるかといったことが課題に挙げられている。経営側もオフィスを経費としてではなく、新たな価値を創造するための「投資」と考えるようになってきた。
そんなふうにオフィスのコンセプトやレイアウト、ゾーニングなどが変われば、社員の働き方や意識も大きく変わってくるはずだ。そこで今回は、「次世代オフィスのあるべき姿」を長年追求し続けているコクヨファニチャーに、企業が今どのようなオフィスを求め、社員の働き方がどのように変わろうとしているのか、聞いてみた。
「カタチから入る」から
「ビジョンに合わせる」へ
コクヨグループの企業であるコクヨファニチャーは、2004年にコクヨから分社。オフィス家具などの製造・販売をはじめ、空間デザイン・コンサルテーション、人材育成サービスなどを手がけている。
コクヨ時代の1969年、本社新社屋完成を機に、自社のオフィス空間を一般に公開する「ライブオフィス」という、当時は例を見ない取り組みを開始。45年も前から次世代のオフィスや働き方を自ら実験し、社会に発信してきた。現在も東京・霞ヶ関、品川、大阪・梅田などでライブオフィスを公開している。
「霞ヶ関ライブオフィス」は2012年12月にリニューアルしたが、その際、プランニングを手がけた同社コンサルティングディレクターの鈴木賢一氏は、オフィス空間の変化について次のように話す。
「オフィスのバリエーションは、1950年代から2000年くらいまでの間に、フリーアドレス制も含めて、おおむね体系化できています。たとえば、デスクの並べ方でいうと、島型や背面型、L字型などがあります。こうしたパターンをそのまま導入するだけの“カタチから入る時代”から、現在は企業の目的に合わせてオフィス空間を考える“ビジョンに合わせる時代”へと移行しつつあります」
こうした時代の流れとともに、同社の事業のあり方も、単なる家具やオフィスの提供の域を超え、大きく広がった。現在では、企業が目指す姿を描く「Work Vision」、ビジョンに合った社員の働き方を考える「Work Style」、意図した働き方を社員が自発的、意欲的にできる場をつくる「Work Place」、働き方や場がうまく活用され、社員のパフォーマンスを最大限にするしくみを考える「Work System」の4つを包括的にサポートする企業になっている。