ホンネを見抜くには
「平均」か「それ以下」がベスト

 この実験では、魅力的な人は、「物理的な距離」をとられてしまうことが明らかになったわけだが、「心理的距離」についても同様に考えられるだろう。魅力的な人に、平気で近づいていけるような人は、めったにいないのである。

 相手のホンネを聞き出すという目的からすれば、だれもが振り向くような美貌は、むしろ逆効果になりかねない。そういう人は、余計な身構えを相手にさせてしまうので、本当の人柄を見抜くことができなくなってしまうのだ。

 幸運というべきか、筆者は、それほどハンサムでもないので、初対面の人とでもすぐに打ち解けてしまう。もし筆者が、信じられないほどハンサムなら、相手の緊張を解くのに、いらぬ手間をかけなければならないのだろうが、幸い、そういう手間をかけずにすんでいる。その意味では、両親にも感謝すべきなのだろうか……。

 平均的な顔だちか、むしろ平均以下のほうが、相手のホンネを見抜く上では有効に作用する。もし、顔だちに自信があっても、人に余計な緊張をさせないためには、そういう美貌を隠すように振舞うことも大切である。

おわりに

 さて、当連載も今回で最終回。これまで紹介してきたのは、単なる「会話術」でも、「人間関係を良くするためのテクニック」でもない。しかし、ここで紹介してきたさまざまなテクニックは、ビジネスシーンのいたるところで利用することができるものばかりである。

 最近は、会話や人間関係についての興味が高まっているせいか、書店にはたくさんの本が並んでいる。しかし、普通の本では、当たり前のこと、常識的な法則だけしか書かれておらず、なんとも物足りない気持ちになるのは、筆者だけなのだろうか。

 筆者はよく、会話やコミュニケーション関係の本をよく読むが、もっと「ウラの方法」があっていいはずだといつも感じている。そういうものを、当連載の中で選りすぐって紹介させてもらった。ぜひみなさんのニーズにあわせて、“悪魔の対話術”を存分に利用してほしいと思っている。

 ちなみに筆者自身が一番気に入っているのは、第6回『わざと「無知」を装い、相手に気を許させる』である。読者のみなさんは、どれがお気に召しただろうか。