世界中の企業がiPhoneに装備したいのは、お洒落なケースではなく、セキュリティという“鋼の鎧”に違いない──。

今年6月、米ナスダック市場に上場を果たしたモバイル・アイアン社(本社カリフォルニア州)は、企業などがスマートフォンを安全に管理することのできるソフトを提供するIT企業だ。大企業から政府機関まで世界6000社が採用する理由は何か。ボブ・ティンカー最高経営責任者(CEO)がインタビューに応じた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 後藤直義)

Bob Tinker/バージニア大学のシステム工学の理学士号とスタンフォード大学のMBA取得。Vertical Networks、NationsBank、Airespace、CiscoSystemsを経て現職。
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──モバイル・アイアンのサービスは、どのような企業が使っているのでしょうか?

 モバイルは今、ビジネスに激的な変化をもたらしています。

 例えば、世界中に1万近い店舗を展開しているドイツのスーパーマーケットチェーン、リドル社(LIDL)の顧客事例をご紹介しましょう。

 あなたは量販店のバックオフィスを見たことがありますか。そこにはゾッとする光景が広がっています。一般的には旧式のデスクトップパソコンが、回線スピードの遅いISDNのネットワークに繋がっており、いつも書類や紙の“大洪水”が発生しています。

 そこでリドルは近年、米アップルのiPhoneとタブレット型端末を使って、この店舗の裏方部分の業務を再構築しました。

 社員らはタブレットで店舗の運営計画を作成し、在庫の調整や、商品の配置までモバイルでこなす。また出退勤はiPhoneを利用して行う。日々の業務フローを根底からモバイルで変えてしまったのです。

 その裏側で、モバイル・アイアンのサービスが動いています。

──具体的に、どのような効果があったのでしょうか。