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「働き方」という経営問題―The Future of Work―

働く環境が社員に高く評価される企業は
利益成長率が高いという調査結果が明らかに

ダイヤモンド・オンライン編集部
【第9回】 2014年9月10日
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――社員にとって働き甲斐のある会社にするには、どのような人事制度が必要でしょうか。

楠見 必ずしも、社員に対して平等さをアピールする必要はないと思います。働いた結果の成果に応じて、相応の報酬が払われることも大事です。また、企業は「雇用主としてのブランド」を高めていく必要があると思います。これはその企業が生み出す商品のブランド力とは必ずしも一致しません。素晴らしいことができる職場だと社員が思えることが必要です。

 それと、組織のリーダーシップの問題です。社員は、自社の目標と現場の目標が一致しているのか、実はけっこう厳しくチェックしているのです。それが食い違っていると、職場に対して不信感を持つようになります。現場のマネージャーと経営との意思疎通が問われる部分です。

 調査をしていると、企業によっては職場の実際の姿と経営者の考えとのギャップが、はっきりと出てきます。その事実を数値で確認することで、改善につながると確信しています。

経営者と社員の
認識のギャップが命取りに

――現場と経営との間にギャップがあると、何が起きますか?

楠見 これまでの日本の経営者は、多少職場環境が悪かったり、やりがいが足りないとしても、社員は簡単には辞めないだろうと高を括っていたところもあったと思います。しかし、これからは人材がますます流動化し、報われないと感じた社員は優秀な人からどんどん辞めていってしまうでしょう。

 ところが、足元の業績がよかったりすると、この問題の深刻さに気がつかない経営者も見られます。あるいは、経営者の思いが現場に伝わっていないケースもあります。経営者が、危機感をもって現場の環境をよくしていくことは、極めて重要です。

 ベスト・エンプロイヤーの調査対象企業は、当社が長年蓄積した情報ライブラリーを閲覧いただくこともできます。たとえば、経営者と社員とのコミュニケーションを改善する過程を記録した事例なども豊富に入っています。場合によっては、マネージャーの研修など、人事制度が機能するためのツールの提供も可能です。いずれにしても、継続的な改善努力と定期的なチェックがセットにならないと、人事制度や職場環境をよくすることはできないと考えています。

 日本企業がもっと伸びていくための重要な視点は、個々の社員が長く活躍できる職場環境にあると思います。入社して中堅まで成長した社員がそこで離職してしまうのは、企業にとって計り知れない損失です。あるいは、経験を積んだシニアの社員にとって活躍の場がないのも、本当にもったいない。そうした現場の意見を吸い上げ、改善に着手することは、企業の成長への最短距離だと思うのです。

――今回の調査はいつまでですか?

楠見 今年度の調査申し込みの受け付けは10月10日(金)までです。調査が完了後、審査を経て、第1回のベスト・エンプロイヤーの発表は2015年2月を予定しています。

――ありがとうございました。

「ベスト・エンプロイヤー調査2015」の概要(エーオンヒューイットジャパン)

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人口減少による働き手の不足と経済・社会のグローバル化が、企業経営を取りまく大問題となっている。そのなかで、企業が競争優位性を築くためのキーワードとして浮上しているのが「ワークスタイル変革」だ。識者への取材や企業事例の紹介を通じて、すべての企業と働く人に問われている「働き方」の課題を明らかにしていく。

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