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HPが企業分割を決定!
遅すぎた決断だが、輝きを取り戻せるか?

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第315回】 2014年10月8日
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エンタープライズ社は
EMC買収へ再挑戦か

 今回と同じような分割は、IBMがPC部門をレノボに売却した際にも見られた。また、ごく最近イーベイがペイパルを切り離す計画も報じられ、より広範なビジネスをカバーするよりも、定義しやすい狭いビジネスに注力して、強みを発揮する方が望ましいという見方がIT企業の間で優勢を占めているようだ。HPは昨年、そのレノボにPC出荷数で世界一の地位を奪われている。

 さて、この会社分割は成功するだろうか。新しい二社になった事業は、HPの全売上1120億ドル(2013年)のうち、これまでほぼ同規模の売上を獲得してきた。中でも注目されるのは、HPエンタープライズの展開だろう。

 同社のCEOとなるホイットマン氏は、HPエンタープライズは急速に拡大する潜在力を持ち、企業買収も積極的に行っていくことを明らかにしている。HPは1年ほど前から、ストレージ大手のEMC買収が噂されていたものの、結局実現されなかったという経緯がある。今回の分割後に、この買収交渉が再燃する可能性もあると見られている。

 ただし、企業向けハードウェアやサービスは競争が激しいビジネスだ。上述のレノボも、最近IBMからローエンドのサーバー事業を買い取り、この分野に攻め込む姿勢だ。また、これまでのHPはクラウドへの移行にも遅れ、加えて顧客企業の要望に対応するのも緩慢というのが、関係者の共通した声だという。

 もう一方の「新HP」では、3Dプリンターや「新たなコンピューティング体験」を売りにするという。

 はたして復活なるか、あるいは遅きに過ぎたか。シリコンバレーの伝統企業のゆくえが注目される。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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