円安を背景に訪日外国人が増え、絶好調のホテル業界。2020年の東京オリンピック開催も決まったことから、東京や大阪の都心部を中心に、新たなホテルの開業計画が次々と持ち上がっている。1890年の開業以来、“日本の迎賓館”として国賓や映画スター、ビジネスマンから観光客まで多くの外国人客を迎えてきた帝国ホテルは、どのように差別化を図るのか。

――帝国ホテル東京の稼働率は80%超が続き、数年ぶりに客室単価も3万円を超えています。

帝国ホテル社長 定保英弥 <br />シンガポールに営業所を開設し<br />アジアの富裕層を取り込むさだやす・ひでや/1961年7月生まれ、53歳。1984年学習院大学経済学部卒業後、帝国ホテル入社。2008年帝国ホテル東京副総支配人 兼 ホテル事業統括部長、09年取締役常務執行役員 帝国ホテル東京総支配人を経て、13年4月代表取締役社長・帝国ホテル東京総支配人に就任。
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  昨年来の円安の影響で訪日外国人客が大幅に増えています。加えてタイやマレーシアからの観光ビザの緩和のインパクトも大きく、都内のホテル全体が高稼働、高単価の傾向にありますね。そうしたなか、昨年末、本館の客室料金の見直しを行いました。客室備品・アメニティを拡充し、客室のサービスにかけるマンパワーも増やしています。

 ただ、日本人のお客様の数は昨年と比べると20%ほど減っています。国内のレジャー客の目は東京よりも、大阪に向いているようです。ユニバーサルスタジオジャパンに新しい大型アトラクションが出来た影響でしょう。

――外国人客の比率はどの程度でしょうか。

 かつては50%ほどありましたが、東日本大震災後は20%ほどにまで落ちました。それが今40%程度にまで戻ってきています。早く元の50%に戻したいですね。