ちなみに、20代後半頃の私に上記のような概念はなく、漠然と「人事以外の経験がしたい」と思い、「人事パーソンとして成長するために、他部門を経験させてほしい」と、しつこく人事部長にお願いしていました。

 しかし毎回、「だめ、人事部にいなさい」という回答。

 というのも、明らかに「T型人材」(注2)として育成しようと考えてもらっていたからにほかなりません。

 そんな育成計画に気づくことができなかった私は、仕方がないので、人事制度企画を担当していたこともあり、多くの企業が導入を進めていた「社内公募制度」を自社にも導入しました。

 そして、その制度を自分自身が活用して(!)、人事部から広報室へ異動した次第です。これは極端かもしれませんが、主体的にキャリア形成をするという1つの例として、見て(許して)いだだければ嬉しい限りです。

 実際には、前述の行動よりも、その後の転職を通じたキャリア形成が、より有意義なものになったと感じています。

 1社目で一般的な日本企業の人事キャリアをスタートさせましたが、どうしても事業の立ち上げを経験したくなり、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの開業準備の人事担当へと転職したのです。

 この2社目で、社員のキャリア開発を担当している時に、自分自身のキャリアも棚卸しをしようと考えたことが、3社目へ繋がるプランとなっています。

(注2)特定分野を究めつつ、それ以外の分野についても幅広い知見やスキルを持つ人材

自分の「次のチャンス」を
明確にする

 私としては基本的に、クランボルツ教授が提唱された「Planned Happenstance(計画的偶発性)理論」をキャリア観としていますが、時にはキャリアを振り返り、次の理想的な機会が何なのかを具体化するという行為はとても大事だと痛感しました。

 ご参考までに、自身のキャリアを棚卸しした時のポジションをご紹介します。次のチャンスは下記要件を満たすものだと設定しました。

○ベンチャー企業(日系、外資系企業を両方経験したので、さらに人事としての幅を広げるために……)
○規模は300名以下(社員全員を把握したい)
○業種はIT業界(今後の成長分野として)

 このように明確にすると不思議なもので、ITベンチャーで経営企画を担当していた知り合いから「人事部長を探しているんだけど、来ませんか?」というお話をいただきました。 

 当時、HR Managerとしての仕事に満足していた私は、おそらく、次のキャリアを明確にしていなければお断りしていたと思います。突然「人事部長」と言われても不安のほうが大きいですし……。「チャレンジしてみよう」と思えたのは、自分の次のチャンスが何なのかを明確にしていたからだと思います。

 皆様も是非、チャンスの女神を逃さないためにも、キャリアの棚卸しを実践されてみてはいかがでしょうか。