突然の解散総選挙は
不祥事の「ミソギ」か?
解散総選挙の憶測が流れたのが11月10日の月曜日。そこから「解散風」が吹き始め、永田町の空気は一変した。
自公政権の言う選挙の大義は「消費増税の先送りについて信を問う」だが、筆者にはまるで、内閣改造して以来続いた政治とカネの問題を洗い流すことが目的のような気さえする。
二人の女性大臣が辞任した後、次々と閣僚たちから不祥事が発覚した。小渕優子議員の後任として経済産業大臣に就任した宮沢洋一・参議院議員は、自身の収支報告書にSMバーへの支払いがあったことが明らかになった。望月義夫環境大臣は10月27日の24時、真夜中に突然記者会見を開き、自身の収支報告書に記載されたゴルフ大会などの収支が合わない点について謝罪し、「経理を担当していた亡き妻のミス」と釈明した。江渡聡徳防衛大臣は、法律で禁止されている政党交付金から本人への寄附を行っていたとして追及された。
次々と発覚する閣僚の不祥事に、うんざりしていた有権者も多いと思う。冷静になって振り返ってみれば、「政治とカネ」が騒がれるのは今に始まったことではない。民主党の小沢一郎元代表、自民党の橋本龍太郎元総理大臣、非自民8党連立で戦後初めて政権交代を実現した細川護煕元総理大臣、リクルート事件にロッキード事件、と数々の大物政治家が「政治とカネ」の問題で表舞台を去って行った。
しかし、なぜ有権者は、「政治とカネ」の問題でがっかりさせられる政治家を国会へ送り出してしまうのだろうか。
筆者はマッキンゼーでコンサルタントとして働いた後、国会議員政策担当秘書として政治の世界へ飛び込んだ。与野党の国会議員事務所で働き始めて早二年以上。政治の現場や裏側を見た経験から、「政治とカネ」の不祥事を起こす政治家たちには共通項があると確信している。それは、彼らは「政治家のビジネスモデル」ではなく「政治“屋”のビジネスモデル」を確立している。そして、その“事業”の綻びが、不祥事として表出するのだ。
「政治家はみんな悪いことをしている。だから、選挙なんて馬鹿らしくて行かない」というのは思考停止であり、有権者としての義務を放棄していると思う。
総選挙を前にした今、「政治“屋”」を選ばないために、「政治“屋”のビジネスモデル」を解説し、本来あるべき「政治家のビジネスモデル」との違いを明らかにしたいと思う。