こうした日本での事例紹介の後、トランジション運動発祥の地であるイギリス・トットネスの最新の取り組みが報告された。マイクを握ったのは、「トランジション・タウン浜松」の斉藤隆之さんだ。

 トットネスで展開されているのは、「リエコノミー・プロジェクト」と呼ばれるものだ。新しい経済の仕組みを生み出そうという実践的な試みだという。

経済活動を通じてコミュニティを強靭する
「リエコノミー」に希望の明かりは灯るか?

 リエコノミ―・プロジェクトは経済活動を通じてコミュニティを強靭にする運動で、新しい人や企業を他所から呼ぶのではなく、今ある地域の企業をトランジション的に変えていくものだという。他の地域に経済的に依存するのではなく、たとえば地域の持続可能性を高めるようなローカルビジネスの起業を支援することで、地域経済を成り立たせていくものだ。

 そのために起業家と投資家とのマッチングを図るといった環境を整備する。また、地域内でカネが循環するようにカネの使い方を変えていくという。つまり、自分たちが住んでいる地域をきちんと守っていけるようにカネの使い方をスマートにするのである。こうしたことがリエコノミーの考え方だという。

 斉藤さんは「日本に即したリエコノミーができたらと思っています」と語った。確かに、今の日本社会は地域で使われたカネが地域内に留まらず、中央に吸い上げられる構造となっている。公共投資も同様だ。日本の地方にはこれまで散々、国の補助金や交付金がばら撒かれてきたが、その結果、地方は活性化するどころか疲弊の一途を辿っている。

 ここは発想と行動を大きく転換させない限り、地方創生などあり得ない。まずは依存心を断ち切ることだ。その上で住民同士のつながりを再構築し、地域資源を再点検するべきだ。閉塞感が強まるばかりの日本社会にトランジション運動は希望の明かりを灯すものではないだろうか。