さらなる取材で浮かび上がった
選挙ポスター代の運用に関する疑問

都議会の議事堂。東京都選挙管理委員会に情報開示請求を行った筆者が手にした資料には……。

前回(連載第132回)は、選挙費用の一部を税金で負担する「選挙公営制度」を取り上げた。一般の有権者には関係のない制度であるため、初めて知ったという方も多かったと思う。

 しかし、原資となっているのは我々1人ひとりが納めている税金である。しかも、来月の統一地方選で間違いなく、多額の予算が選挙公営費として支出されることになる。選挙公営費が公正に使われているかどうか、納税者としてもっと関心を持つべきではないか。そんな発想から、この取材を開始したのである。

 その結果、公費負担される選挙ポスター代の運用実態に、様々な疑問点が浮上した。今回は、その後の取材で新たに判明したことなどをレポートする。ざっとおさらいしながら、本題に入っていきたい。

 ポスター代の公費負担は、もともと国政選挙で導入された。公職選挙法に基づくもので、それが1992年の法改正で地方選挙にも拡大された。各自治体が条例を定めれば、「選挙公営」を適用できるようになったのである。「平等で金のかからない選挙の実現」というのが、この制度の狙いである。しかし、なぜか町村は対象外とされ、都道府県と市のみとなった。

 適用対象となった自治体のほとんどが条例を定め、選挙公営制度を導入した。ポスター代の単価などは、公職選挙法施行令に定められている国の基準単価をそのまま適用し、施行令が改正される度に条例も改正していた。

 ポスター作成単価(上限額)の計算式は、ポスター掲示場の数によって2種類に分かれている。掲示場数が500以下の場合は、510円48銭にポスター掲示場数を乗じた額に30万1875円(デザイン校正版下代)を加え、それをポスター掲示場数で除した金額となる。

 掲示場数が500を超える場合は、500を超える数に26円73銭を乗じ、そこに55万7115円を加えた額をポスター掲示場数で除した金額となる。