大阪・御堂筋の商店街を歩くと、アジアからの観光客の多さに驚かされる。心斎橋の交差点辺りで観光バスから中国人観光客がどっと降りてきて、「免税」と表示されたドラッグストア等に流れ込んでいく。東京でも銀座、新宿などで同様の光景が多々見られる。
成田空港や羽田空港の中国行き便の搭乗口周辺は壮観だ。大量の土産物を抱えた中国人がずらりと並んでいるからだ。数日前に乗った上海便では、電気炊飯器二つに加えて、大きな紙袋も幾つか機内に持ち込んできた中国人夫婦が隣に座った。東京でのショッピングを終え、満足げな様子だった。
離陸してシートベルト着用サインが消えるや否や、彼らは乗務員を呼んで免税品を注文し始めた。筆者も含めて周りの日本人乗客は「まだ買うの!」といった驚きの表情で彼らを見つめた。
原油価格下落を発端とした国際金融不安で一時ほどではなくなったが、依然として円安により日本の物価は中国の人々に安く見える。中国の邦銀駐在員が日本に出張する際は、地元スタッフから大量の買い物リストを手渡されるという。
Photo by Izuru Kato
上海の大型書店では、「東京攻略」といった旅行ガイドブックが多数平積みされている(写真)。日本の人気の高さがうかがわれる。最近の傾向は個人旅行のリピーター向けに、かなりディープなガイドブックが増えてきたことだ。
しかし、この裏返しとして、われわれが海外に行くと、円の購買力が落ちた悲哀を痛感させられる。BIS(国際決済銀行)集計の実質実効レートはこの11月は1982年以来の円安だ。