2013年、訪日外国人旅行者数が1000万人を超えた。2020年の東京五輪に向け、訪日外国人旅行者がもたらす経済効果に期待が集まるが、それに先立ち、10月1日、外国人旅行者向け消費税免税枠が大幅に拡大された。食品や薬品、化粧品などの消耗品を含めたすべての品目が新たに免税対象となったこの制度改正で、各地の小売店舗がにわかに活気づいた。
制度施行と国慶節の休暇が重なったせいもあり、銀座4丁目ではショッピングバッグを持つ中国人観光客の姿が目立った。銀聯カード使用による消費は、2014年10月1~7日の期間だけでも前年同期比3倍にもなった。
三越伊勢丹の銀座店は、中国人を含む訪日客が最も多い店舗の1つ。10月1日からは免税カウンターの座席を増やすなどして、応対に臨んだ。「それでも30分待ちの状態が3時間も続いた」(三越伊勢丹ホールディングス広報 塚田理恵子さん)と言う。その日の売上げは前年比230%増、売上げの2割を外国人観光客が占めた。
その中でも大きく動いたのが化粧品だ。都心の百貨店では特に化粧品の販売に力が入れられた。売り場ではスキンケアをセットにした資生堂の「赤い箱」が訪日客の目を引いた。もともと資生堂は中国人にとっての人気ブランドであり、女性の買い物リストには欠かせないアイテムだったが、さらに免税となったことで購入意欲を高めたようだ。資生堂広報部の永井正太郎さんは「まだ集計途上だが、前年を大きく上回る実績を出した」と語る。
ちなみに、百貨店の化粧品売り場では、携帯電話で品番を確かめながら商品を選ぶ中国人男性も目についた。中国人の場合、化粧品の購入者は女性とは限らないのだ。サーチナ総合研究所営業部長の村本季彦さんは「中国では、女性にねだられて男性が化粧品を購入することが多いのが特徴で、女性以上に化粧品ブランドを熟知している男性もいます」とコメントする。