10年前は典型的なドメスティック企業だったが、今や日本有数のグローバル企業に変身しつつあるLIXILグループ。数字の上ではTOTOを追い抜いたが、別の悩みもある。
足元の業績は前年同期比で連結純利益が77%減(2014年4~9月期)と悪化するが、LIXILグループの膨張は現在も進行中である。
この12月10日、LIXILグループは、14年1月に買収した欧州に軸足を置くドイツの水栓金具大手GROHE(グローエ)の株式を追加取得すると発表した。
15年4月には、約309億円を投じ、現在は持分法適用会社である同社への出資比率を現在の43.75%から56.25%に高める。当初のスケジュールを前倒しすることで、16年3月期から連結子会社にする。さらに、17年3月期をめどに完全子会社化に踏み切る。
振り返ってみると、LIXILグループは、11年5月に「住生活産業におけるグローバルリーダーとなる」という中期経営ビジョンを打ち出した。連結売上高3兆円(国内2兆円、海外1兆円)、営業利益率8%、ROE(株主資本利益率)8%以上という目標を達成するために、米GE(ゼネラル・エレクトリック)でアジア人では初めて本社の上級副社長になった藤森義明氏(現LIXILグループ社長兼CEO)を招聘した。
藤森氏を口説いたのは、LIXILグループの源流を成す旧トステム創業者の息子である潮田洋一郎氏(現LIXILグループ取締役)だ。藤森社長が就任したのは11年8月だが、「数年前から2人は会食して話をする間柄であった」(LIXILグループの幹部)。
現在までに、M&Aで、米国の水回り機器大手のアメリカンスタンダードブランズ、同社のアジア・パシフィック部門、イタリアのビル外壁材大手のペルマスティリーザ、インドのビルサッシメーカーのスターアルビルド、南アフリカの水回りメーカーのDAWN社などを自陣営に引き込んでいる。