最近コンサルタントとして大いに反省しなければならないと思うことがありました。ある不動産販売関連のお客様から中国の富裕層向けに日本のマンションを販売できないかという相談がありました。私は、中国人が海外の不動産に投資するのは主に移民関連で、移民を受け入れない日本は難しいのではないか、と答えました。

 ところがそのお客様は、私の忠告にめげずに、北京の住宅展示会に参加し、日本の新築マンションを紹介したところ、すぐにでも買いたいという中国人が多数あらわれました。それで自信を強めたお客様は再度私を訪ねていただき、さらに具体的な販売スキームの構築を弊社にご依頼いただきました。

 私は、早速私のこれまでの経験とネットワークを生かし、販売から決済に至る合法的なスキームを提案し、このお客様について、3月の14日から17日の4日間、上海の住宅展示会の場に立って実際に中国のお客様に具体的な物件を紹介してみました。その結果は、やはり極めて良好な反応でこの後具体的な商談に入るお客様のリストを相当数取得することができました。

 何を申し上げたいかと申しますと、中国に長い間在住し中国の事情を詳しく知っているつもりでも、中国の現実はもっともっと先に進んでいるということです。チャンスがあると思ったら、既成概念にとらわれず、まずは試しに何かやってみないと何もわからないということです。

 このことを教訓に、私どもから見て日本企業にとってビジネスチャンスにつながると思われる事象を独自取材して紹介する活動を、より強化していこうと考えました。ちょうど、ダイヤモンド社からも、この連載の中でも、時にはタイムリーな新しい情報を入れてもいいとお許し頂きましたので、今回から隔回で中国の新しいトレンドを「中国新潮流」としてレポートしていきたいと思います。それが直接的にどのようなビジネスにつながると明確でない場合でも、中国で流行している、又はこれから流行しそうな兆しのあるものはどんどん紹介し、それにより「中国経済事情」をより具体的な事例で皆様に紹介して行きたいと思います。

上海の若者に大人気
新クーポンシステム「VELO」とは?

 最近、上海の地下鉄各線の主要各駅で、新しく設置された広告媒体端末(写真1)をよく見かけます。これは近くのレストランや娯楽施設などのクーポンをプリントアウトできる新しい広告媒体です。この端末が、上海の若者たちの間で人気を呼んでおり、実際に、この端末でクーポンをプリントアウトしている若者の姿をよく見かけます。

 この端末の名称は「VELO」(中国語名:維絡城)といい、端末を利用するにはVELO CARDという小さいカード(写真2)を取得する必要があります。申し込み方法は、運営会社のインターネットホームページで登録送付先を指定するか、街頭で配布されているカードを入手し、携帯電話のショットメールで登録を行えばすぐに使用できます。使用方法は、とても簡単で、カードを端末のタッチセンサーのところにタッチして、自分がほしい店を選んでプリントアウトのボタンを押せば5秒ほどで一枚の割引クーポンを出てくる仕掛けです。

左:(写真1)機械本体、右:(写真2)カード
左:(写真1)機械本体
※写真の出処:http://ameblo.jp/go-go-shanghai/day-20070612.html
右:(写真2)カード