通報しても、その後の取り調べでは何度も被害を話さなければならない。そのことに拒否感がある人も多いだろう。また、訴えても証拠が不十分で不起訴となることもある。

「強制わいせつ事犯」か、
「迷惑防止条例違反」なのか

 報告書には、行為が「強制わいせつ事犯」となるか「迷惑防止条例違反」となるかは、その行為が悪質かどうかで決まるとある。

「迷惑防止条例」は都道府県によって多少の違いがあるが、東京都の場合は「何人も、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、人を著しくしゅう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない」というもの。これに対し、「強制わいせつ」は「13歳以上の男女に対し、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者は6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」とある。

 電車内での痴漢が強制わいせつに問われる事例として、三木秀夫法律事務所が開設しているサイト「ニュース六法(倉庫)」の中では、「満員電車の中などで、被害者(男女を問わない)が逃れることのできない状況であるのに乗じて、身体に力を加えてパンティなどの下着の中に手を入れるなどしてわいせつ行為に及んだ場合には、この刑法上の強制わいせつ罪に該当する」「(わいせつ行為については)一般的には『下着の中に手などを入れたかどうか』で判断が分かれることが多い」と書かれている。また、露出した性器を女性の手に擦り付けるという行為で、「強制わいせつ」に問われた例も紹介されている。

 冒頭で、学生時代に日常的に痴漢被害に遭ったという田房さんのコメントを紹介したが、筆者も通学に電車を使っていた高校時代、頻繁に痴漢に遭った。また、友人たちも同様の被害を受けている人が多かった。自分が被害に遭った経験を「女子高生という子どもが、電車内という社会で、痴漢という性被害に遭うことについて」というブログに書いたところ、色々な反響があった。