時代によって求められるモラルも変わるもの。30代以上の人は、子どもの頃に見ていたテレビ番組に比べ、最近の番組は「お色気要素」が減ったと感じている人も多いのではないだろうか。
放送倫理・番組向上機構(BPO)の青少年委員会は昨年12月に行われた定例委員会での報告として、「最近の深夜番組の性的表現に対して、視聴者からも委員会からも強い批判や懸念がある」と、深夜番組での性的表現のあり方について議論を求めるコメントを発表した。これについて、世論の反応はどうだったのだろうか。
性的マイノリティーへの配慮も
BPOが求めた「議論のお願い」
まず、BPOの会議内容や、そのコメントについて細かく紹介しよう。具体的な番組名は公表されていないが、BPOでは「関東圏の独立局などで深夜に放送している音楽バラエティー番組について」引き続き討論を行ったといい、会議中に取り上げられたのは次のような意見。(参考:青少年委員会議事概要 第165回)
「画面上で修正は入っていたが、男同士で性器への直接的な行為を行っていた。男女で同じ行為をした場合でも放送に問題はないと考えるのだろうか。男同士ならばおふざけで済むのではないかという制作者の考えは問題だ」
「男同士の性的行為を笑いのネタにしている」
「別の番組で女性アイドル同士が胸を触り合うといった表現があったが、性的マイノリティーや視聴している青少年への配慮が必要だ」
「別の部屋で女性二人がモニターで修正のない男性の裸の映像を見ていて、その女性の反応を見て楽しむというのはハラスメント的要素がある」
「男性目線で作られていて、女性が見て嫌悪を感じる表現が多い」
これまでも繰り返し言われてきた「男性目線の性的表現」についてだけではなく、男性同士の性的表現を「笑いのネタ」にすることなどトランスジェンダーなど性的マイノリティーへの配慮を求める意見が出たことがわかる。最近になって、性的マイノリティーの権利について日本社会が少しずつ意識し始めたことの表れでもあるのだろう。こうした意見などを元に、BPOは次のようなコメントを発表した。(全文は上記「青少年委員会議事概要 第165回」で読むことができる)