いちばんグッときたのは“隔離”(タイムアウト!)
奥田 ユカイさんは5歳の女の子と3歳の双子の男の子がいらっしゃるんですね。
ユカイ 最初の子は47歳のときに授かった。
奥田 年齢がいってからお子さんを授かると、普通はかわいくて、かわいくてたまらない。そういう親御さんは僕の本に書いてあることは受け入れにくいようです。
でも、ユカイさんは認めてくださった。ブログに「革命!」と書いてくださったそうですね。それは、どうしてなのかなと……。
ユカイ 俺はロックンローラーで、子育てとはまったく別の世界で生きてきた。だから新しい世界に飛び込んで、日々勉強中なんです。俺の親の時代と、いまの子育ては全然違うでしょ。俺の子どものころは、怒鳴られる、叩かれるなんてあたりまえだったし。
奥田 たしかに、子育ては大きく変わりました。
ユカイ 先生の本は書き方が斬新だよね。読んでいて、いちばんグッときたのは「暴力に対して暴力で返さない。では、何ができるのか。それは隔離」ってところ。社会では暴力行為の結果は隔離。それは子どもの世界にもあてはまると思った。
奥田 本にも書きましたが、サンフランシスコの空港に親子4人がいたんです。搭乗を待っていたんですよ。上の男の子が5~6歳、下の男の子は3~4歳。上の男の子が大声で騒いだりお母さんをグーでたたいたり、地べたに寝転んで弟を蹴ったりしていました。
ユカイ 目に浮かぶね(笑)。
奥田 そのとき母親が「タイムアウト!」と声をかけて、男の子の腕をつかんでそのまま列を離れ、30メートルくらい離れた壁際の出入口の窪みまでつれていきました。
男の子は半泣きで静かにするしかない。どうなったのかなと思いながらも飛行機に乗ってしまったら、搭乗者の最後尾から母親と男の子が機内に入ってきて、父親と弟が取っておいた座席に静かに座りました。