子どもって「魔法のコップ」!
奥田 私は講演や他の本でもこんな表現をしています。子どもって「魔法のコップ」なのです。そのコップには常に水が100%入っています。
でも、コップの中に異物が1%でも入ったら、ほとんどの親はその異物をピンセットやスポイトで取り除こうとする。それが子育てや教育だと思っているんです。
ユカイ ああ。
奥田 この場合、純水が「望ましい行動」で、異物が「困った行動」です。親や教師の多くはこの数%の異物を取り除こう、つまりやめさせようとするものです。
ユカイ なるほど、確かに。
奥田 でも、私の考え方とやり方はまったく違います。コップに新しい水を注ぎ続けるんです。そうすれば自然と異物は流れ出ていってしまいますから。その場でやってほしくない行動を叱るとか説明・説得するのではなく、取るべき望ましい行動を「練習、練習、また練習」でコーチングする手間をかけるということです。
ユカイ 教育や子育てというのは困った行動をやめさせることじゃない。新しいことをやることなんだ。いいね、それ新しい!!
奥田 そうなんです。今日はどうもありがとうございました。すごい楽しかったです!
ユカイ こちらこそ、ありがとうございました。また、続きやりたいね!
臨床心理士/専門行動療法士/行動コーチングアカデミー代表。兵庫県西宮市生まれ。
常識にとらわれない独自の指導プログラムにより、さまざまな子どもの問題行動を改善させる行動分析学者。数万件以上の難問題を解決してきた手腕から「子育てブラック・ジャック」と呼ばれ、日本各地のみならず世界各国から指導依頼を受ける国際的セラピスト。年間のべ1000件以上の相談活動を行い、これまでの相談実績は数万件以上。桜花学園大学大学院客員教授など研究者としてのキャリアを経て、2012年に長野県西軽井沢に5000坪の敷地を買い取り、「行動コーチングアカデミー」を設立。発達障害、自閉症、不登校などの問題解決に関わる人材育成を行い、現在、日本初の行動分析学を軸とした私立幼稚園の設立を準備していることでも注目を浴びている。「日本行動療法学会内山記念賞」(1999年)、「日本教育実践学会研究奨励賞」(2003年)、「日本行動分析学会学会賞(論文賞)」などを受賞。行動科学系の2大学会で初のダブル受賞となる。『NNNドキュメント』『スッキリ!!』(日本テレビ系)では、「今、最も注目されている教育者」として紹介。『あさイチ』(NHK総合)他にも出演。本書では、子育てにまつわる具体的な『行動の処方せん』を公開。著書にベストセラーとなった『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』(大和書房)、『メリットの法則――行動分析学・実践編』(集英社)、『拝啓、アスペルガー先生――私の支援記録より』(飛鳥新社)、『自閉症児のための明るい療育相談室――親と教師のための楽しいABA講座』(共著、学苑社)などがある。
【奥田健次オフィシャルブログ】
http://www.diamondblog.jp/kenjiokuda/