これまで「クリエイティブ国富論」というタイトルの下で連載してきましたが、あまりクリエイティブではない経済政策批判を書くことも多く、タイトルと中身が合っていないなあと時折反省していました。加えて言えば、個人的に今年からはバラエティ的な仕事を徐々に減らし、経済政策の世界に戻ろうと考えていることもあるので、今回から「政策ウォッチ」という新しいタイトルの下で経済政策にフォーカスした形に変えさせていただきます。どうか引き続きよろしくお願い致します。
そこで、今週は記念すべき(?)第1回にふさわしく、保育士の資格を巡る利権構造の存在を説明したいと思います。巷では保育士不足が喧伝されることが多いのですが、あまり語られることのないこの深刻な問題も影響しているのです。
保育士不足の深刻な実態
保育の充実や待機児童の解消は、社会保障分野における重要な政策課題となっています。実際、2017年度末には保育士が7万4000人も不足すると厚労省は予測しています。
それでは、なぜ保育士が不足するのでしょうか。最大の理由として挙げられるのは、責任が重く重労働の割には給料が安いなど待遇が悪いという点です。保育士の月給は平均21万円台と全産業平均に比べて10万円以上低いことからも、それは間違いないでしょう。
しかし、保育士不足の原因はそれだけでしょうか。色々と探ってみたところ、もう一つ重要な問題があることが分かりました。
保育士として働くには保育士の資格を取得することが必要ですが、そのためには、指定保育士養成施設(大学、短大、専門学校で計約620ヵ所)で教育を受けて卒業するか、都道府県単位で実施される保育士試験に合格するかの、どちらかが必要となります。それを経て、都道府県単位で保育士の登録を行なえば、晴れて保育士として働けるのです。