写真提供:服部栄養専門学校
去年の暮れから「Nomaが日本に来る」という話題で高級レストラン業界は持ちきりだった。
デンマーク、コペンハーゲンにある『Noma』はイギリスの雑誌が主催する「世界のベスト・レストラン50」で1位を4回も獲得しているレストランだ。その店がスタッフごと日本に引っ越してきて、マンダリンオリエンタルホテルで1月上旬から2月初旬までの期間限定レストランを開いた。
ともあれこのサイトを読んでいる大多数の読者にとっては「なにそれ」という話だと思う。少し知っている方にはこんな反応が返ってくるかもしれない。
「Nomaって、あれだ。蟻を食べさせるところでしょう」
コペンハーゲンの本店では「ヨーグルトと蟻」の料理を出している。今回の『Noma Tokyo』のメニューにも「蟻」を使った料理(ボタンエビに長野産の蟻をまぶしたもの)が登場した。
料理だけではなく価格もインパクトがあった。『Noma Tokyo』は料理+ワイン・ペアリング(あるいはジュース・ペアリング)で6万3000円(これに13%のサービス料と8%の消費税がかかる)、単純に考えて一人当たり7万円である。宿泊込みのプランだと『1泊1室2名様 15万4000円より』という高価格だった。
にもかかわらず、予定されていた1ヵ月(実際はさらに1週間延長された)の営業で用意できる2000席に対して、結局6万0000人の応募があったそうだ。当然、予約は速攻で埋まった。
お金はあるところにはあるものだ……と若干遠い感じになってしまうが、今回の記事の主旨は『Nomaってなに?』というものである。Nomaはただ蟻に代表される、けったいな料理を食べさせるレストランではない。1軒のこのレストランはデンマークの経済まで変えたのだ。