2014年の訪日外国人数が過去最高を記録し、外国人客の消費で盛り上がる「インバウンド銘柄」が注目を集めている。小売店のみならず、ホテルや交通、さらには意外な業種まで、インバウンド客の恩恵はあちこちに広がっている。(ダイヤモンド・オンライン編集部 津本朋子)

免税やビザ緩和で人数増加
1人平均14万円買い物をする中国人

 株式市場で新たなキーワードとなっている「インバウンド銘柄」。日本を訪れる外国人観光客の購買パワーで業績上昇が期待される銘柄を指す。

買い物だけで1人平均14万円も使う中国人は、今や日本企業の大切なお得意様だ
Photo:Rodrigo Reyes Marin/AFLO

 2014年の訪日外国人数は1341万人と、前年比で約30%も増加した。東日本大震災後は放射能汚染の心配から、観光客はおろか、日本にオフィスを構える外資系企業も社員を本国に撤収するなどの騒ぎが起きたが、今や状況は様変わりだ。

 背景には、政府の努力がある。13年以降、マレーシアやタイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム、中国といった国々を対象に、観光やビジネスでの短期滞在についてビザを免除するなど、ビザ発給要件を緩和してきた。さらに、昨年10月からは、外国人旅行者の消費税の免税対象を拡大。これまでは対象外だった消耗品を含め、全商品が免税となった。

 特に買い物に熱心なのは中国人だ。昨年10-12月の観光庁データによると、他国からの訪日客と比べて「買物代」が突出しており、なんと1人当たり約14万円もかけている。仮に家族5人で日本を訪れれば、買い物だけで70万円も使っている計算だ。2位につけているベトナム人の約8万円、3位のロシア人の約7万円を大きく引き離してダントツである。

 一方、買い物は控え目だが、宿泊代にカネをかけているのは欧米やオーストラリアといった国々からの観光客。こうした訪日外国人が増えることで、恩恵を受けている企業の株が買われるのは当然の話だ。