業務スタイルは千差万別
裁量労働を希望する社員が大多数の場合も

 私はIT企業の人事部長時代に、時間労働か裁量労働か、どちらを希望するかメンバーから率直なフィードバックを受けたことがある。裁量労働とは、残業手当は支払われないが相応の固定金額は年俸に含まれ、一方、自らの裁量で1日10時間働こうが5時間働こうが1日働いたとみなされる働き方だ。

 ヒアリングの結果、バックオフィスの数名を除いて全員が裁量労働を希望した。この結果と各メンバーの業務内容の実態をふまえて、コンサルタントやエンジニアのメンバーには専門業務型裁量労働を、営業のメンバーには事業所外労働を、さらに裁量労働を希望するバックオフィスメンバーには企画業務型裁量労働を、管轄の労働基準監督署の担当官と相談しながら適用した。

 彼らの年収は、数百万円から1000万円超まで、さまざまだった。どの年収の社員であっても、自らが望む労働体系の適用を受けて満足しているようであり、労働意欲も高まったように思う。

 別の企業の例だが、人事責任者を務めたコンサルタント会社においては、コンサルタントの9割は裁量労働を希望したが、1割は時間労働を希望したので、各々の職務を斟酌しながら、裁量労働と時間労働の2制度を併存させた。個別の事情と業務内容をふまえた上での、極めて柔軟な対応だったと言える。

 読者のみなさんは、「それは、IT企業だからだろう」、「コンサルタント会社はそうかもしれないが、うちでは…」と思われるかもしれない。そして、同じホワイトカラーと区分される企業や職種でも、事情は千差万別であると思われるに違いない。