安倍政権の新成長戦略の目玉であるホワイトカラー・エグゼンプション制度がいよいよ解禁される。初めて、労働時間と賃金とのリンクを切り離した制度であり、官邸は岩盤規制の打破と息巻く。ところが、実態は、彼らが当初狙っていた制度とは程遠い。そこには、厚生労働省による抵抗があった。
ついに、労働時間ではなく成果に応じて賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度が解禁されることになりそうだ。ホワイトカラー・エグゼンプションとは、一定の類型業務に就く労働者について、労働時間規制の適用除外(残業代ゼロ)とする制度だ。
安倍政権は、こうした「新たな労働時間制度」の導入を、岩盤規制の打破と位置付け、新成長戦略の柱に据えてきた。2006~07年の第1次安倍政権時代に“残業代ゼロ法案”との批判を浴びて制度導入を断念した経緯もあり、「今回こそはと、首相は制度導入に並々ならぬ強い決意で臨んでいる」(内閣府関係者)という。
1月16日に開かれる労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)では、厚生労働省の労働基準法改正案が提出されているはずだ。その骨子には、ホワイトカラー・エグゼンプション導入に加えて、裁量労働制やフレックスタイム制の見直しも含まれる(右表参照)。
ホワイトカラー・エグゼンプションの対象要件は、年収1075万円以上、金融ディーラーや商品・研究開発者、システムエンジニアなどの専門職とされた。
特に社会的関心の高い年収要件が「1075万円」で着地したのはなぜなのか。