なぜかと言えば、フィットビットのような活量計は、活量計が製品ではなく、「体の計測による健康管理サービス」が製品であり、全体の価値提供はソフトウェア発想で設計されているからである。

 日本メーカーの製品は「活量計」そのものが最終製品であり、ものづくり中心の発想で作られている。日本メーカーの活量計に比べると初期のフィットビットのバンド型活量計はちゃちなものであった。当時、フィットビットの経営幹部は「私たちはハードウェアそのものにはあまり興味がありません。枯れた技術や部品を組み合わせてアジアで安く量産すればそれで十分。重要なのはソフトウェアとサービスなのです」と言って憚らなかった。

スマートウォッチ市場を獲るため
完成前から製品を発表

IoT時代には、ソフトウェア発想で<br />日本のものづくりの力を活かせ「Pebble(ペブル)」のWebサイトより

 ウェアラブルのもうひとつの流れ-水平型-は、腕時計をスマートフォンの延長線で機能させる新たな情報端末「スマートウォッチ」だ。

 スマートウォッチは、停電力でパワフルな半導体チップ、安価なメモリー、停電力ディスプレーなどのハードウェア、モバイル通信網、クラウドインフラなどの通信インフラ、そしてコンパクトで洗練されたOS、クラウドサービス、数々のアプリなどのソフトウェアがすべて安価に揃って初めて実現する。だからタイミングが鍵だ。

 このようなタイミングで、ベンチャー企業のPebble(ペブル社)が彗星のように現れ、瞬く間にスマートウォッチのトップ企業となった。2011年に創業したペブルは、翌年に10億円以上のスマートウォッチを売ったのだ。しかも、発売発表の時点でまだ製品が開発されてなかった。

 なぜそんなことができたのか?それは、「クラウドファンディング」という新しい資金調達の仕組みのおかげだ。

 ペブルが利用したサービスは、クラウドファンディングの草分けでKickstarter(キックスターター)という。仕組みはこうだ。製品のコンセプトを説明したプレゼンティーションをキックスターターのウェブサイトに載せる。利用シーンを訴求するためにコマーシャルフィルムのような動画を載せることが多い。そこで、製品のアイデアに賛同した人に製品の予約販売をする。

 この場合、総額 ○○○ドル以上集まったら製品を生産して後日お届けします、という宣言をする。「アイデアやプロトタイプの段階でお金を払う人がどれだけいるのか?」と疑問に思う人多いかもしれないが、実際、キックスターターでは多くの消費者が「夢」のある製品やプロジェクトにお金を払っている。

 ペブルの初めてのキャンペーンで1030万ドル(約12億円)、今年の本格キャンペーンでは、何と2週間足らずで1800万ドル(約22億円)以上売り上げている。なにしろ生産を始める前に売っている訳だから在庫リスクがほとんどない。しかも、予約販売時に顧客から多くのフィードバックが寄せられるので、製品発売前に改良ができる。