「ペヤング事件」がSNSとリアルで
約10日もタイムラグがあった理由

かつての敏腕総務部長はどこへ行ってしまったか? Photo:milatas-Fotolia.com

 昨年末の話になるが、みんなが大好きな“ペヤング”にゴキブリが混入するというショッキングな事件があった。マスコミでこの事件が大きく取り上げられたとき(12月11日)、同商品の回収にとどまらず、全面的に操業をストップしたという会社側の対応を見て「思い切った対応をしましたね」と好意的なコメントをしているTV番組のキャスターもいた。企業の役員クラスの人々の反応もおおむね好意的なものだった。

 いっぽう、SNSに馴染んだ若い世代の意見はまったく違った。ネット上では、操業ストップのニュースを受けて、「やっとか」「おせーよ」という反応をした人が過半を占めた。

 テレビや新聞などで大きく取り上げられてから“ペヤング事件”を知った層にとっては「早急な対応」に見えたかもしれないが、この事件が最初に明るみになったのは、虫が混入したペヤングの写真のSNSへの投稿(12月2日)である。虫が混入された麺のショッキングな写真がアップされ、その後の会社とのやり取りなどについてもリアルタイムにつぶやかれ続けていたのだ。同時に、実際にペヤングが作られている古びた製造機械の写真なども流出し、衛生面や安全面での問題がいろいろ指摘されていた。この間は9日。SNS世代とSNSに馴染みの薄い世代との間には大きなタイムラグがあったのだ。

 実際に、多くの企業ではこういった状況が起こりうる。50代以上の経営幹部クラスの人間は、たいていSNSへのなじみが薄い。“リツイート”や“シェア”の意味もよく知らないのではないだろうか。彼らは、TVや雑誌などいわゆる“マスコミ”の影響力や怖さは知っていても、SNSの怖さについては感覚的にはほとんどわかっていない。そのため、“よくわからない”SNSへの対応はかなり極端だ。過敏に反応するか、無視するかの二択になっているような気がする。ペヤング事件でも、購入者本人に「お互いのため」といった言い方で投稿を消すよう指示してしまい、本人とそれを知った多くの人たちの反感を買ってしまった。