春闘はまずまずの結果となりそう

今年の春闘では要求額が前年を上回る大手企業も見られた
Photo:東洋経済/アフロ

 3月18日は春闘の集中回答日でしたが、その結果をみると、大企業の多くが賃上げに前向きに取り組んでいることが分かります。大企業平均での昨年の賃上げ率はだいたい2%超でしたが、今年はおそらく3%超になるのではないでしょうか。

 ただ、勤労者のうち大企業で働くのは3割程度に過ぎず、残りの7割は中小企業で働いている現実を考えると、大企業よりも中小企業の賃上げがどの程度となるかの方が、消費の活性化の観点からは重要です。

 その中小企業の賃上げ率ですが、昨年はだいたい1%超でした。今年は、円安による原材料価格の高騰や消費税増税後の消費低迷などのマイナス要因はあるものの、人手不足が地方ほど深刻化している現実を考えると、昨年より多少は良くなり、2%程度になると期待できるのではないでしょうか。

 そうなれば、ただでさえ原油安の効果で物価上昇率が下がってきている中で、4月からは消費税増税の物価押し上げ効果もなくなって更に下がるであろうことを考えると、過去19ヵ月にわたって前年比マイナスを続けてきた実質賃金も、大企業と中小企業の双方で、春からいよいよ上昇に転じる可能性が高くなると考えられます。

 個人的には、上場企業の昨年4~9月の売上高が前年同期比で5%増、経常利益は7%増となっていることを考えると、特に大企業の賃上げ率はまだ低いと思っています。それでも実質賃金が増加に転じれば、それは消費をある程度押し上げることは間違いありません。

 即ち、昨年10月の金融緩和第2弾、今年に入ってからの補正予算と来年度予算という財政出動、そして政治主導の賃上げと、この数ヵ月の経済運営はだいぶうまく行っていると言えるのです。最近ずっと株価が上昇を続けているのがその証左ではないでしょうか。