グローバル自動車輸出拠点として近年、関連企業の進出が加速するメキシコ。これに焦るブラジルは保護主義的な圧力をかけ、この3年間、メキシコからの自動車輸入を制限してきた。その期限を直前に控えた3月9日、両政府は新たな保護貿易措置を発表した。日系進出企業への影響は避けられそうにない。
3月9日、ブラジルとメキシコ両政府は、2国間の自動車の無関税輸出入に上限枠を設ける措置を4年間、延長することで合意したと発表した。
Photo:REUTERS/アフロ
「無関税輸出に上限枠を設けることについては互いに合意しており、摩擦ではない。しかも、2012年3月から3年間の時限的措置と明示されている。15年3月以降は再び、自由貿易に戻る」
14年10月末、メキシコ自動車工業会のエドワード・ソリス会長は週刊ダイヤモンドの取材に対し、このような見方を示していた。しかし実際には、相反する結果となった。
本稿執筆の3月17日時点では、まだ詳細を詰めている段階だが、両政府の発表によると、今年3月19日から1年間の上限枠は15億6000万ドル(約1900億円)。前年に比べて5%下回る。
メキシコは、今や世界4位の自動車輸出国へと成長を遂げた。低く安定した労働コストもさることながら、実に40カ国以上と自由貿易協定(FTA)を締結。そのため、世界の自動車メーカーは近年、メキシコを新たなグローバル輸出拠点と位置付けている。