米国経済が堅調で、利上げが進む局面は、ドル高(円安)を伴いやすい。米国の経済成長率は今年も来年も3%超と予想、FRB(米連邦準備制度理事会)は今年9月に利上げに踏み出し、フェデラルファンド金利は来年には2%に至ると予想する。ドル円相場は今年125円、来年130円への上昇トレンドをたどるだろう。
FRBは3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)声明から、利上げに「辛抱強く」なれるとの文言を削除した。一方、歴史的な超金融緩和からの「出口」に際して、市場の利上げ期待を先走らせると、FRBの政策変更の自由度が失われかねない。イエレン議長は市場の期待を管理すべく、会見でハト派色をにじませた。
FOMCメンバーは米経済についても控えめな見方を示している。失業率予想は2015年末5.0~5.2%、16年末4.9~5.1%、17年末4.8~5.1%で、17年までの雇用増は月平均14万人と試算される。これはあまりにも少ない。筆者の同僚エコノミストは、月平均25万人増と、最近のペースより控えめに見込んでも、失業率は年内にFOMCの17年予想を超え得るという。
市場は、米景気の拡大、FRBの利上げサイクル入りを見込んで、すでにドル買いを進めてきた。昨年後半以来、ドル指数(ドルの実効為替レート)は25%上昇し、12年ぶりの水準になった。米企業の業績にも影響が出て、ドル高批判が目立ち始めた。