FOMCで慎重に声明文を変更
政策金利の引き上げはいつか?
2015年3月17日-18日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、実質上のゼロ金利政策を維持し、保有する資産規模を維持することを決定した。
ゼロ金利政策を維持する期間について、声明文の「金融政策の正常化を開始するまで『忍耐強く』(patient)なれる」という表現を削除し、労働市場のさらなる改善と、インフレ率が中長期的に目標の2%に回帰する自信が得られたときに政策金利を引き上げるとした。
また次回のFOMCは、2015年4月28日-29日に開催されるが、4月のFOMCでの利上げの可能性が極めて低いことも記載した。2014年12月の会合で声明文を変更した際に、市場の混乱につながらないよう慎重な修正を行ったように、今回も同様に極めて慎重に文言を修正したと言えるだろう。
1997年名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程前期修了。同年大和総研入社。経済調査部、内閣府出向、投資戦略部等を経て、2012年4月より現職。担当は米国経済全般。
なお4月の会合では、イエレン議長の記者会見などの予定はなく、4月の次の会合は6月16日-17日で、記者会見などが予定されている。
今回の会合の結果は、前回に続き全会一致となった。利上げに積極的なタカ派のメンバーだけではなく、ハト派のメンバーも政策変更の柔軟性を確保するため、利上げの可能性を開くことに同意したと見られる。イエレン議長は2014年12月のFOMC後の記者会見で、「忍耐強く」なれるとの文言は、今後2回のFOMCで利上げする公算が低いことを意味する表現だと説明し、今回の会合で文言を変更すれば6月の利上げ開始を、しなければ6月の利上げ見送りを示唆することになってしまい、事実上、政策の柔軟性を失っていた。
今回の文言変更で、FOMCメンバーは適切だと思ったタイミングで利上げできる柔軟性を得たことになる。