2014年12月7日、創業から10周年を迎えたソーシャルゲーム大手GREE(グリー)。近年は「探検ドリランド」や「釣りスタ」のヒットにより業績が急成長した一方、肥大化した組織の再構築や、スマートフォン向けゲームへのシフトが課題となっている。こうしたなか、全社で「グリーで働くことをもっと楽しくする」プロジェクト、「Refactoring GREE」(リファクタリング・グリー)が始まった。その全貌について、プロジェクトを指揮する藤本真樹CTO(最高技術責任者)に話を聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 柳澤里佳)
年の瀬も押し迫った12月末、東京・六本木ヒルズのワンフロアは若い熱気に包まれていた。この日は、グリーが半期に1度行う社員総会の日で、創業10周年を記念しスペシャルバージョンで開催された。これまではホテルで行ってきたが、今回は“手作り”にこだわって本社オフィスの一角を使用、まるで縁日の屋台さながらに酒や食べ物が用意された。集まった約1000人の社員たちは思い思いに談笑し、室内の壁にはイラストやメッセージを描いている人まで。会場は自由で楽しい雰囲気に包まれていた。
総会のメインコンテンツであるMVPの授賞式が始まると、各賞の受賞者が呼ばれ壇上に上がっていく。例えば、ゲームのプランナーは「ベストプロダクトマネージャー」として、仙台のカスタマーセンター長は「顧客満足度を上げた」として表彰されていた。ちなみにカスタマーセンターは、13年末に外注から社内対応に切り替えていた。顧客の意見を直接聞き、蓄積することでゲームの開発に生かすため。受賞者たちは、皆一様に喜びの表情を浮かべていた。
こうした雰囲気の総会へと変わったのは、この日の半年前、6月の総会で発表された「Refactoring GREE」(リファクタリング・グリー)プロジェクトがきっかけだ。リファクタリングとはコンピュータープログラミング用語で、内部構造を整理しブラッシュアップすることを意味する。このプロジェクトのコンセプトはずばり、「グリーで働くことをもっと楽しくする」。これを指揮するのがCTO(最高技術責任者)の藤本真樹氏だ。
一般的にこうした企業風土改革は管理部門が行うことが多いが、どうして技術系トップが旗を振ることになったのか。藤本氏は「役員合宿で他の役員から突然、指名されただけです」と笑うが、そこには狙いがある。創業メンバーの1人で、社内のエンジニアからの信頼が非常に厚く、ソーシャルゲーム業界でも指折りの技術系マネジャーと評される藤本氏。ゲーム会社にとって優秀なエンジニアの確保は経営に直結する課題であり、時に繊細でシニカルな面を持ち合わせる彼らに、いかに気持ちよく長く働いてもらえるかはグリーの将来を左右する問題でもあるからだ。